自衛

会社から駐車場まで歩いて5分。裏路地、街灯無し、民家無し。
夜になったら人気も消えて、うら若き乙女にはちょいとキツイ空気になります。
てめえの顔見てから心配しろよなんて言わないで下さい。


そんなこんなで痴漢や賊にはうってつけな路地。
自分の身は自分で守らなくてはなりません。
帰り道、脳内はいつも戦闘体勢。
相手は一人。後ろからいきなり羽交い締めにされたら?
まずは右手にある車のキーを奴の腕に突き刺す。
思いっきり。グリグリ回す。あれれエンジンかかりませんよー?
きっと痛がって力も緩むだろうから、その隙に腕から逃れる。
そして相手の股間めがけて蹴りを一発。出来ればそのまま押し倒す。
嫌がる相手。それを見て興奮する自分。
今更何びびってんだよ。ああん?
あとはそいつの服をびりびりびりって


――逆だ。


いやでもホントに気をつけなきゃですよ。同僚と一緒に帰るとかね。