『世界は密室でできている。』感想

いや、もーたまんねっす!
キューンとくる。好きすぎてどうしようって感じです(笑)
前の二作と設定が似ているという声もあるようですが、空気感が全然違くないですか?
確かに西暁町で、方言バリバリで、いくつもの謎を簡単に解明しちゃって、
根本を突き詰めりゃ同じかもしれませんが、向いてる方向が逆というか。
今までは、ぐるり囲まれた状態で、時々精神だだ漏れしちゃったりもするけど
心の矢印は結局ひとつの輪の中に向かったままで。
けど今回のはそういった輪の中から飛び出せる力が存在するような。解放感というか。
矢印は外へ外へ、とね。抜け出せてるかどうかは別として。
でもでもタイトルが『世界は密室でできている。』だからなー。
どこまでいっても閉じられた世界なのか。謎。


――勝手にそう感じてるだけなんですが。ハイ。


以下ネタバレ。


ラストでルンババが屋根から飛び降りるシーン。
飛ぶルンババ。逆光。見上げる僕たち。周囲の大人。そしてまたルンババ。
全てがスローモーション。イメージがブワっと。
実際は簡単に飛んでしまったようなのですが、これまた勝手な想像を。
そのあとのルンババの体を支えるシーンや「ごめんごめん」のところもキューっとなりました。
あ、友紀夫とエノキの「ほっぺにチュウ」な会話もいいなー。3回繰り返し。うまー。
しかし一番驚いたのは「奈津川」の名前が登場したことですね。
ルンババと三郎が知り合ったのは、偶然などではないということですかね。うーん。
ちょこちょこ現われるギャグもグウ!
「フ、フフ…」なんて怪しげな笑い声漏らしながら読んでました。
とりあえずラストだけの感想ですが、全部ネタバレオッケーな場所があったらいいですね。
ネタバレというか感想垂れ流し?


それにしても舞城氏のイラストは物凄いです。イラストレーターとしてもやっていけそう…。
マザーグースとか外国の絵本に出てきてもおかしくない感じ。クールでポップで毒っ気チラリで。
デッサン力もあるお方なんでしょうなー。表情とかも上手いよなー。
画集出ないかなー(飛躍しすぎ)


今までこの方の作品には、ヒジョーにロックな音楽が合うなあ、と思っていましたが、
この『世界は〜』は優しい歌が似合いそう。女性ボーカルものとか。
とりあえず今はYUKIの『プリズム』みたいな、そーゆー感じの曲を浮かべてます。
シャウト全開だったのが、ハミングに変わったような感覚。


最初にも書きましたが、好きすぎて好きすぎて、今も身悶えが止まりませんので、
また読み返したいと思います。ええ、ボロボロになるまで。(二冊買ってて良かったね!)